審査に受かるコツは? 使い勝手がいい銀行はどこか?「副業がうまくいく銀行口座」ベスト9

副業を本格的に始める場合に、不足しがちなのは「取引先の信用」と「時間」だ。意外なことかもしれないが、この2つを手に入れようとするには、銀行口座の選び方が重要になる。

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 なぜ、副業専用の銀行口座が必要なのか なぜ、副業専用の銀行口座が必要なのか

個人のお金と分ければ自分も取引先も安心

副業を始めたら最初にすべきこと

サラリーマンが本格的に副業を始めようとする場合に、まず何をするべきだろうか。名刺を作る? オフィスを借りる? 税務署に開業届を提出する? それとも法人を設立する・・・?

するべきことがたくさんあって忘れられがちだが、後々のことを考えれば、早めに準備しておいたほうがいいのは「副業専用の銀行口座を作る」ということだ。

「経理」は自分でする必要がある

副業を始めれば、支出や収入が発生する。サラリーマンであれば、仕事で生じた売上や経費、給料などの後処理はすべて会社の経理担当者がやってくれるが、副業の場合はそれらのバックオフィス業務を自分でしなければならない。

「税理士に丸投げするつもりだからOK」という人も多いかもしれない。しかしいくら税理士でも、あなたの個人的な収支と副業の収支を見分けることはできない。口座を分けずに、個人のお金と仕事のお金を一つの口座に混在させていると、結局は取引履歴を一つずつ選り分けるという余計な仕事が、自分に降り掛かってくるから要注意だ。

取引先から信頼が得られる

「屋号口座」は法人でなくても作れる

取引先に口座名義を伝える場面を考えても、個人事業の屋号(事業の名前。法人の場合は会社名)が入っている口座は、取引がスムーズに進みやすい。業種・業態にもよるが、屋号を掲げて仕事をしているにもかかわらず、振込先口座名が個人名になっていると、顧客は「この支払代金は個人の懐に入るのか?」と感じるかもしれないからだ。

屋号(会社名)が口座名に入った口座には、「屋号口座」(屋号付き口座)と「法人口座」の2種類がある。もちろん、法人を設立するのであれば、法人口座を開設することが望ましい。

社名を掲げてビジネスをしているのに、お金のやり取りが個人口座だと、多くの取引先は不審に感じるだろう。融資を受けたり、大口の取引をしたりする際には個人口座では断られることもある。信頼性の確保が法人口座を開設する最大の理由だ。

口座名義の例 法人格 オンラインバンキング利用料
屋号口座 ABCカンパニー 山田太郎
「屋号」+「名前」
ゆうちょ銀行振替口座は屋号のみ
不要 有料の場合が多い
法人口座 ABCカンパニー株式会社
「屋号」(法人名)
必要 有料

副業のバックオフィス業務は「半自動化」して手間を省く

屋号口座や法人口座を開設し、ビジネスとプライベートのお金を明確に分けることで、経理や税務申告もやりやすくなる。特に会計ソフトやクラウド会計サービスを使う人は、副業に関する口座とクラウド会計サービスをAPI連携(システム同士が直接データをやりとりできるようにすること)で直接紐づければ、ビジネスに関する入出金履歴データだけが自動的に会計クラウドサービス取り込まれるので、経理作業の負担がかなり軽減する。

さらに事業専用の法人クレジットカード/デビットカードを作って法人口座/屋号付口座を引落し口座にし、クレジットカードに付いている電子マネーもあわせてAPI連携させる。なるべく紙のレシートや領収書は受け取らず、デジタルの形で記録を残すようにすれば、経理処理の半自動化が実現する。

一般の会社で経理のペーパーレス化を進める場合、全社員にクレジットカードや電子マネーを持たせて使わせるだけでも大変だ。社内の抵抗もあるだろう。しかし、一人でする副業なら、ペーパーレス化は自分の心がけ次第だ。

バックオフィス業務に時間をかけられない個人事業では、こうして経理処理の手間を省く方法をあらかじめ考えておくことが非常に大事だ。バックオフィス業務時間を取られて副業がおろそかになれば、本末転倒だからだ。そして、こうしてきちんと経理処理しておけば、脱税やずさんな経理を疑われて税務署に目をつけられ、大変な目に遭う可能性も減るだろう。

副業専用の口座作成ではどんな審査が行われるか 副業専用の口座作成ではどんな審査が行われるか

審査が厳しくなっているのはなぜか

個人口座で代用せざるを得ない場合も

ただ、屋号口座や法人口座は、個人名義の口座と比べると、開設のハードルが少々高い。個人名義の口座であれば、支店に出向いて身分証を提示すれば30分程度で開設できるが、屋号/法人口座は、事業の存在を証明する各種書類を提出し、審査に通って初めて開設できるものだからだ。最短でも1週間、長ければ2~3週間はかかると見たほうがいい。しかも、審査に通るかどうかはわからない。

当初は、個人名の口座を別途新たに用意して、それを副業専用に使うことで、対応せざるを得ない場合もあるだろう。取引先とは、個人名の銀行口座でお金のやりとりをしなければならなくなるが、他に方法がない。

そして、そのように個人口座で事業関係の決済をする場合でも、将来、事業用の口座を作る予定の銀行に、新たな口座を用意したほうがいい。個人口座での事業に関する入出金の実績は、同じ銀行で事業用の口座を作るときに役立つからだ。そして、銀行の側から、「個人の口座を事業用に使っているようですが、別に事業用の口座を作ってください」と求めてくることもあるようだ。

口座開設審査に通るための「コツ」とは

屋号/法人口座の開設審査で、銀行は、ある程度の事業の実績を示すように求めてくる。しかも、審査は年々厳しくなっているようだ。これは経営実態がない会社の口座が、マネーロンダリングや通販詐欺・特殊詐欺など不正利用されるなどの問題が増えているからだ。

しかし、はじめて事業用の口座を開設する側からすれば、これから事業を本格的に始めるからこそ、口座を開設しようとしているのだから、銀行に提示できる事業の実績はどうしても乏しくなりがち。これが事業用口座開設の難しいところだ。

では、口座開設の審査に通るための、銀行選びの「コツ」はあるのだろうか。

一般的に言えるのは、あなたがこれまでに何らかの「縁」を持っている銀行のほうが、審査に通る確率が高くなるということだ。「縁」とは、たとえば「既に個人口座を持っている」「関連会社のサービスを利用している」「仕事場や自宅が銀行の支店と地理的に近い」といったことだ。

そして特に思い当たる「縁」がないのであれば、開業間もない事業の口座開設に比較的前向きだと言われる、「GMOあおぞら銀行」と「ゆうちょ銀行」(振替口座)に申し込んでみよう。

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口座開設の審査に通るための、銀行選びの「コツ」

① 何らかの「縁」がある銀行に申し込む「縁」とは?

  個人口座を持っている
  関連会社のサービス(楽天銀行の場合は楽天など)を利用
  銀行の支店が仕事場(自宅)に近い
  融資を受ける など

② 思い当たる「縁」がなければ、「GMOあおぞら銀行」と「ゆうちょ銀行」に申し込む

口座開設の審査はどのように行われるか?

「屋号口座」は銀行により運用が異なる

ではまず、屋号口座を作る方法について説明しよう。屋号口座では、基本的に「屋号+代表者名」「代表者名+屋号」「代表者名のみ」が口座名義となる。つまり、口座名の一部に、代表者の個人名が入ることになる(後述のゆうちょ銀行振替口座を除く)。

屋号口座は事業のために使われる口座だが、法人ではなく、個人の口座であるという、やや位置づけが曖昧な口座だ。そのせいか、銀行によって審査や運用も微妙に異なっている。

そもそも、銀行によって、屋号口座を「営業性個人口座」として個人口座に準じる扱いとしている銀行と、「事業用口座」として法人口座に準じる扱いとしている銀行とがある。どちらに位置づけられているかにより、審査の内容や、個人口座との重複開設が可能かどうか(あるいは逆に、個人口座開設が屋号口座開設の前提とされているかどうか)などの運用が変わってくる。

また、屋号口座を個人口座に準じる扱いとしている銀行であっても、オンラインバンキングのシステムは、法人口座のシステムを使用することになる場合が多い。メガバンクは、法人口座のオンラインバンキングが有料であることが多いため、屋号口座でも月額の口座維持手数料を支払う必要がある。

個人事業主が「屋号のみ」口座を作る唯一の方法

なお、屋号口座は基本的に「屋号+代表者名」「代表者名+屋号」「代表者名のみ」が口座名義となるのだが、ゆうちょ銀行だけは、振替口座(銀行の当座預金と似た口座)として、屋号名のみの口座を開設できる。逆に言えば、個人事業主が「どうしても屋号名だけの口座を作りたい」と考えた場合には、ゆうちょ銀行の振替口座を開設する以外には選択肢がない。

なお、ゆうちょ銀行以外の銀行の屋号口座では、口座名義は屋号と個人名を組み合わせた長いものになってしまうのだが、取引先から振込を受ける場合、口座名義は屋号名だけでも振込を受け付けてもらえる銀行(例・ジャパンネット銀行)と、屋号のみでは受けてもらえない銀行(例・GMOあおぞらネット銀行)がある。前者の銀行であれば、取引先に口座名義を伝える際に、口座番号に加えて屋号名だけを伝えればいいので、作業は少し楽になる。

屋号口座の開設審査はどのように行われるか

屋号口座は法人口座に比べて開設の審査ハードルは低いとはいえ、個人口座ほど手軽に開設できるわけではない。屋号付口座は法人口座と区別が付きにくく、不正利用されやすい面もあるからだ。営業の実績や実態があるかどうかも審査される場合がある。開設に必要な書類等は金融機関によって異なるが、以下の書類から何点かを出すように求められ、審査が行われることが多い。

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「屋号口座審査で提出を求められることが多い書類」一覧

〇開業届(控えの原本) 〇納税証明書 〇社会保険料納付証 〇商業登記簿謄本 〇事務所の賃貸契約書 〇公共料金の領収書 〇確定申告書(控えの原本+収受印) ○営業許認可症 〇公共料金の領収書 〇屋号あての郵便物 〇HPのプリントアウト(アドレスがわかる形で) 〇名刺

法人口座の開設が「断られる理由」

法人口座を開設する場合は、言うまでもなく、法人を設立していることが前提となる。とはいえ、法人があれば口座を開設できるというわけでもない。最初に書類審査が行われるが、その後は面談があることもある。なかには、担当者が事業所を訪ね、実際に業務が行われているか確認することもあるようだ。

手順を踏んでも口座開設が適わないケースはあり、その場合も「なぜダメだったのか」の詳細を教えてもらえることはない。法人口座の開設審査でマイナスに働くと考えられる要因は、以下のようなものだ。

  資本金が少ない
  固定電話がない
  申し込んだ支店が事業所や自宅住所の最寄りの支店でない
  事業所住所が自宅と同じ
  事業所住所がバーチャルオフィス
  設立して間もない
  何をしている会社か事業内容がわかりにくい

これらのポイントは、あくまで審査の上で相対的にマイナスに働くということであって、いくつか該当していても口座開設ができる可能性は十分にある。

これは屋号付口座でも言えることだが、審査の際に銀行が見るのは「経営の実態があるかどうか」「まっとうなビジネスが行われているか」がポイントなので、面談審査がある銀行の場合は、取引関係書類などを面談の際に持っていくといい。

法人口座を作るにあたって、提出を求められる書類は、次の通りだ。必要書類は金融機関によっても異なり、追加書類を求められることもある。(◎は多くの銀行で必須、〇は提出を求められる可能性のある書類)。

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「法人口座審査で提出を求められることが多い書類」一覧

◎登記簿謄本(履歴事項全部証明書) ◎青色申告承認申請書 ◎法人番号通知書◎会社社印 ◎代表者実印 ◎印鑑証明書 ◎身分証明書 〇代理人委任状(代表者以外が申請する時) 〇事務所の建物登記簿謄本/賃貸契約書 〇株主名簿/出資者名簿 〇法人設立届出書 〇事業計画書 〇代表者の名刺 〇会社案内(ホームページ)

銀行口座は事業を開始したらすぐに必要になるが、審査にはどうしても時間がかかる。あらかじめ断られるかもしれないことを見込んで、複数の銀行へ問い合わせ、申請しておくといいだろう。

どの銀行に口座を作ればいいかどの銀行に口座を作ればいいか

「ネット銀行」「ゆうちょ銀」を軸に検討しよう

使いやすいネット銀、信用のメガバンク

では次に、具体的にどの銀行に口座を開設すればよいだろうか。まず、銀行の業態別の特徴について見てみよう。まず、各項目について業態別に使いやすさを評価したのが、次の表だ。

銀行の業態別・法人/屋号口座開設のメリット・ディメリット

審査 手数料 使い勝手 API連携 自動引落 融資
ネット銀
ゆうちょ銀行
メガバンク・大手地銀
信用金庫等

「副業のためにとりあえず事業口座を用意したい」ということであれば、やはり使い勝手がいいのはネット銀行だ。審査がメガバンクよりは緩く、ネットバンキングの操作がしやすい。

口座維持手数料や振込手数料も安く設定されていて、立ち上げたばかりの事業には向いている。ただ、銀行名が取引先に与える印象は、メガバンクにはかなわない。支店名も、あまりビジネス向きではない「カタカナ・キラキラ系」の名称が使われていることが多い。

そして、法人を持たずに屋号のみの屋号口座を作りたいのであれば、ゆうちょ銀行の「振替口座」という選択肢がある。この「振替口座」は、後述するように、決済利用に特化した口座だ。現金の入出金場所に制限があるなど、普通の銀行口座とは少し使い勝手が違う面がネックではある。

ただ、経理業務省力化のため、ペーパーレスを心がけて、なくべく現金での入出金はせず、クレジットカード・電子マネー決済、振替・送金を心がけるのであれば、入出金場所の制限は大きな欠点ではなくなるだろう。

メガバンクは、副業始めたばかりでの口座開設は困難か

信用度の面で、メガバンクに軍配が上がることは言うまでもない。ただ、そもそも立ち上げたばかりの副業を積極的に扱おうというメガバンクは少ないので、審査が厳しいことは覚悟しておく必要がある。既に相当量の事業実績があったり、あるいは、不動産投資の副業をはじめるので融資を受ける予定があるなど、明確な実績や取引上のつながりがなければ、口座開設を申し込んでも無駄骨に終わる可能性が高い。

メガバンクに比べれば、信用金庫や信用組合、労金などは、事業の規模が小さくても口座が開設できる場合がある。特に、商店や飲食業など地元に根ざした副業をする予定があり、将来的に融資を受けることも考えているのであれば、十分に口座開設を申し込んでみる価値があるだろう。

ネット銀行は手数料の安さと利便性の高さが魅力

手数料は安いが、ネックは「キラキラ店名」

ネット銀行の特徴は、屋号/法人口座の口座維持手数料やシステム利用料が無料であり、振込手数料などの各種手数料も安いということだ。

口座開設の審査は、メガバンクほどは厳しくないとはいえ、それなりの審査が行われるので気を抜いてはいけない。むしろ対面での審査がないぶん、書類がきちんと揃っていて、経営の実態を証明できるかどうかが重要になる。ネットだけで審査が完了するので、口座開設の可否は早くわかる。

ネット銀行だけあって、クラウド会計サービスとのAPI連携サービスにはほぼ対応している。また、法人向けネットバンクのUIも、メガバンクのものより操作しやすい造りになっている。口座開設時に口座と連携したデビットカードを発行できることが多く、これで経費の支払いをすれば経費精算が楽になる。

一方で、ネットバンク支店名のなかには、地名でなく、「カタカナ・キラキラ系」で、ビジネスには不向きなものがあって、これに違和感を覚える人は多いようだ。ジャパンネット銀行は、2021年4月5日からは銀行名も「ペイペイ銀行」に変わる予定だ。

なお、一部の個人利用に特化したネット銀行(ソニー銀行、auじぶん銀行など)は、屋号/法人口座の開設をそもそも受け付けていない。また、大和ネクスト銀行は、大和証券の口座も開設する場合に限って法人口座の開設が可能だ。

ネット銀行事業口座の「メリデメ」

メリット デメリット
  • 口座維持手数料が無料、振込手数料が安い
  • API連携に対応している
  • オンラインバンキングのUIが使いやすい
  • ネットバンキングの利用休止時間がないなど利便性が高い
  • 窓口がないので対面で融資などの相談はできない
  • 支店名が地名ではなくカタカナキラキラ系でビジネス向きでない場合がある
  • 社会保険料や公共料金の自動引落、税金支払い(Pay-easyなど)に対応していないことがある。

オススメは「GMOあおぞら」と「ジャパンネット」

副業で利用するのに向いているネット銀行だが、銀行により、口座開設のしやすさや、手数料には多少の差がある。おすすめなのは、『GMOあおぞら銀行』と『ジャパンネット銀行』だ。どちらも事業口座開設の条件が少なく、初めて事業用の口座開設をするのに向いているといえる。

 

オススメ1位 オススメ2位
GMOあおぞら銀行 ジャパンネット銀行 楽天銀行 住信SBIネット銀行
(NEOBANK)
屋号口座の開設 ○(事前に個人口座開設要) ×
法人ネットバンクの月額料金 無料 無料 無料 無料
振込手数料(他行・3万円以上) 261円 275円 262円 250円
振込手数料(他行・3万円未満) 166円 176円 168円 160円
振込手数料(同行) 無料 55円 52円 50円
提携ATMでの入出金手数料 110円 無料(3万円以上の入出金) 220~275円 110円
デビットカード発行 ○(Visa) ○(Visa) ○(JCB) ○(ミライノ(Master VISA))
法人複数口座 ○(最大20個) ○(最大20個) ○(最大5個)
ペイジー(Pay-easy) × ×

ゆうちょ銀行は書類が揃えば開設できる可能性が比較的高い

通帳やキャッシュカードがない「振替口座」

ご存知の通り元は郵政公社の郵便貯金事業で『ゆうちょ銀行』になったのは平成19年から。まだ郵便局時代のシステムを引きずっていて(口座番号が記号5桁+番号8桁など)、少し特殊な立ち位置だ。ただ全国約2万4000箇所に窓口、約32万のATMネットワークがあるのは強い。インターネットバンキングは無料で、振込手数料もメガバンクよりは安い。

ゆうちょ銀行の特徴は、個人事業主が屋号だけを口座名義とする振替口座を開設できることだ。

ゆうちょ銀行の振替口座(記号・番号の記号が「0」から始まる口座)とは、銀行の当座預金に相当する金利は付かない口座で、通帳やキャッシュカードがないため、ATMを利用できない。そのため入出金は特定の郵便局の窓口でしかできないが、ネットバンキングが使えるので、現金をあまり扱わない事業なら、十分利用できる。

提出書類は多めだが、揃えれば通りやすい

ゆうちょ銀行店舗で必要書類を提出すると、貯金事務センターで審査が行われる。面談はないがそのぶん必要書類は多めで、法人口座の場合は決算関係書類(貸借対照表等)や財産目録、法人税納税証明書なども求められる。書類のみによって審査されるため、提出できるものはきっちり揃えたい。

ゆうちょ銀行は法人口座の審査がゆるい」という評判もあるが、「開設できなかった」という声も一定数聞く(事業所がバーチャルオフィスである場合など)。デメリットは通常貯金1300万円/定期性貯金1300万円の預入限度額があることだ。

ゆうちょ銀行事業口座の「メリデメ」

メリット デメリット
  • 書類が揃えば審査は厳しくない
  • API連携に対応している
  • ゆうちょ銀行間の送金が安い
  • ネットバンキングのUIが使いにくい
  • 融資が受けられない
  • 預入限度額がある(通常貯金1300万円・定期性預金1300万円まで)
ゆうちょ銀行
屋号口座の開設 ○(振替口座)
法人ネットバンクの月額料金 550円(契約時5,500円、屋号口座は個人のネットバンク利用で月額・契約時共に無料)
振込手数料(他行・5万円以上) 440円
振込手数料(他行・5万円未満) 220円
振込手数料(同行) 100円

メガバンク口座は信用度が高いが審査は厳しい

事業実績や「縁」がなければ開設は難しい

多くの人が期待するのは、メガバンクでの法人口座開設ではないだろうか。メガバンクに口座があると、取引先からの信用度が高まる。

一方で法人口座開設の審査は厳しく、事業規模や実績が重視される傾向があるため、副業を始めたばかりの場合は開設が難しい。

また、他行あて振込手数料やネットバンキング利用料など、諸々の手数料が総じて高い。加えて法人向けネットバンキングは、月額料金がかかることが多い。

画面デザインなどのUI(ユーザーインターフェイス)は個人向けのネットバンキングに比べてわかりにくく、利用休止時間があるなど、創業間もない個人事業主にとっては使いにくい。ただ、クラウド会計サービスとのAPI連携にはほぼ対応しているので、残高や履歴を確認するだけであれば、API連携先の会計クラウドサービスの画面を利用できる。

口座開設には面接が必要な場合が多い

口座開設方法の詳細は銀行によっても異なるが、インターネットで申し込んだ上で、支店で面接という流れになることが多いようだ。法人口座は登記所在地を管轄する支店でしか開設できない場合がある。

メガバンク事業口座の「メリデメ」

メリット デメリット
  • 取引先からの信用度・安心度
  • 担当者と対面で融資相談ができる
  • API連携に対応している
  • 公共料金やカードなどの自動引落し対応先が最も多い
  • 口座開設の審査基準が厳しい
  • ネットバンキングの利用手数料が高い
  • 他行あて振込手数料が高い
  • ネットバンキングに利用休止時間がある、入出金明細の閲覧期間が短いなど、使い勝手に課題がある場合がある
  • ネットバンキングのUIが使いにくい
  • 融資の審査基準が厳しい

以上のように、メガバンクの屋号/法人口座は、取引先の信用度が上がるという大きなメリットはあるものの、その他のメリットは少なく、敷居も高い。

そんななか『三井住友銀行』は、屋号口座でも個人ネットバンキングのシステムを利用できるうえ、法人口座で、ネットバンキングでクラウド会計サービスとのAPI連携が無料で可能な設定がある点で、副業用の口座としては、メガバンクのなかでは使いやすい。

オススメ1位 オススメ2位
三井住友銀行 三菱UFJ銀行 みずほ銀行 りそな銀行
屋号口座の開設 ○(個人ネットバン・SMBCダイレクトを利用) ○(法人ネットバンクを利用) ○(法人ネットバンクを利用) ○(法人ネットバンクを利用)
法人向けネットバンクの名称 パソコンバンクWeb21 BizSTATION みずほビジネスWEB りそなビジネスダイレクト
法人ネットバンク月額料金(API連携あり最安) 無料
(「ライト」プラン)
1760円 3300円 3300円
(「mini」プラン)
振込手数料(他行・3万円以上) 770円 770円 770円 660円
振込手数料(他行・3万円未満) 440円 550円 440円 660円
振込手数料(同行) 440円(3万円未満220円) 330円(3万円未満110円) 330円(3万円未満110円) 330円

地域密着ビジネス向きの地方銀行・信用金庫等

融資や新規事業相談に乗ってもらいやすい

飲食/小売店経営や製造業など、地域性のあるビジネスで副業をする場合は、地方銀行や信用金庫などに法人口座を開設するという選択肢もある。地域密着型の経営でエリア内に店舗数が多く、融資や新規事業の相談に乗ってもらえることが多いのがメリットだ。

法人口座の審査は書類と面談で行われるが、審査はメガバンクほどではないにせよ厳しめ。特に資本金が小さすぎたり事務所がバーチャルオフィスだったり、事業内容がわかりにくかったりすると開設不可になってしまうケースがあるようだ。

ネットバンキングの充実度やサービスの質は銀行/信用金庫によるが、ネットバンキング利用料や振込手数料は総じて高め。ネットビジネスなど地域性がなく、顧客や取引先が全国区であれば振込が他行あてになってしまう可能性が高いのでメリットは少ないかもしれない。

地方銀行・信用金庫等の事業口座の「メリデメ」

メリット デメリット
  • 地方での知名度は高い
  • 融資などの相談に乗ってもらいやすい
  • 審査は厳しめ
  • ネットバンキング手数料・振込手数料は総じて高め

将来的にはメガバンク(または地方銀行)+ネット銀行の使い分けを目指す

まずはネット銀行で取引実績を作る

ここまで銀行別の法人口座/屋号付口座について見てきた。事業口座は確実に開設できるかどうかがわからないので、いくつか申し込んでみて、開設できたところを利用するしかない面がある。事業の実績があまりなければ、ネット銀行やゆうちょ銀行が現実的だ。

金融機関が気にする最大のポイントは「事業の実態があるのかどうか」で、会社設立後すぐでは却下されてもビジネスが軌道に乗り実績ができてくると開設できることもある。

例えば「ジャパンネット銀行」は法人設立後半年を経過していない場合の必要資料もホームページに示している。ビジネスを開始する前の法人でも、法人開設を認める明確な基準があるということだろう。ネット銀行で取引実績を作れば、メガバンクの法人口座を開設する際の証明資料にもなる。

将来的には「複数口座の使い分け」を目指す

メガバンクや地方銀行には、公共料金や税金等の自動引落しの対応機関が多いため、定期的な支払いの手間を省きやすいというメリットがある。また、「〇〇銀行と取引がある会社」という社会的信用度が得られるため、事業をするうえで信用度が重要であれば、メガバンクや地方銀行などにも法人口座を持つのが理想だ。

しかし一方で、ネット銀行の手数料の安さは魅力的だ。メガバンクなら1回700円前後かかる他行振込手数料も、ネット銀行なら200~300円で済む。積み重なれば無視できない差になる。

もし、ネット銀行とメガバンク・地方銀行の両方に口座を持つことができれば、取引先にはメガバンクの法人口座/屋号付口座を提示し、支払い・振込は振込手数料の安いネット銀行から行うという方法もある。

経費はなるべくネット銀行口座に紐づけたクレジットカード/デビットカードで決済して、API連携した会計クラウドサービスで管理すれば、一人で片付けなければならない副業の経理処理も、格段に簡単になるだろう。

イラスト=タケウマ 文=渡辺一朗 編集=eon-net編集室