月数百円から始められる!導入するだけで生産性がアップする人事クラウドサービス31選

企業の人事領域で注目される″HRテック”とは?

榊 裕葵(さかき ゆうき)

特定社会保険労務士
ポライト社会保険労務士法人マネージング・パートナー

上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、独立。個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。自動車製造関係の会社に勤務していたため、製造現場の効率改善に対する意識の高さに触発され、バックオフィスにも水平展開したいという想いを持った。ITやクラウドソフトの活用が水平展開の突破口になると考えてHRテクノロジーに関心を持つようになり、今日に至っている。著書に『日本一わかりやすい HRテクノロジー活用の教科書』(日本法令)

最近、HRテックという言葉をよく耳にするようになったのは、いわゆる「働き方改革法」の施行により、会社が従業員の労働時間を正確に把握することが求められるようになったからだ。しかし実は、HRテックは、法対応だけでなく、業務の効率化や高度化に大きく貢献する力を秘めていて、今後は、企業の盛衰を左右する存在になることも予想される。以前からその力に注目し、今年『日本一わかりやすい HRテクノロジー活用の教科書』を上梓した社会保険労務士の榊裕葵氏に、HRテックの基本的から具体的な導入方法までをお聞きした。

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 HRテックとは何か HRテックとは何か

あまり費用をかけずに業務を飛躍的に効率化できる

昨今、HRテック(人事労務業務を効率化するクラウド型ITサービス)を導入する企業が急増しています。

HRテックの導入により、多くの場合は業務の効率化や迅速化、そして各種法規制への対応といった多大なメリットが得られます。それに比べて、多くのHRテッククラウドサービスの導入費用は月々従業員一人あたり数百円〜というものが多く、費用対効果はかなり高いと言えます。

私の主張はもちろん、「HRテックを導入することは多くのメリットがありますから、ぜひ導入してください」というものです。

人事労務の仕事をレベルアップするIT技術

ただし、HRテックとは何かをきちんと定義できている人は多くないかもしれません。実際、学問的な定義はありませんが、ここで私なりの定義を紹介しましょう。

HRとは英語のHuman Resources(人材、人的資源)の頭文字をとった略語で、HRテックとはHRとテクノロジーを組み合わせた造語です。ですからHRテックは、「人材や人的資源に関する専門技術」という意味になります。これでは少しわかりにくいですね。そこで実務上の実態を踏まえてより具体的に定義すると、HRテックは、「人事労務業務を効率化・高品質化するクラウド型ITサービス」という定義になります。

人事の仕事を一気に見える化、共有化

人事労務業務は、人事と労務にわかれます。人事に属する業務は、「採用」「社員教育・研修」「人事評価」「人事異動」「タレントマネジメント」「人事制度企画」などが挙げられます。労務に属する業務は、「勤怠管理」「給与計算」「入社・退社等の手続き」「健康管理」「福利厚生」「労働トラブル対応」などが挙げられます。

HRテックは、これらの人事労務領域の業務を、クラウド上のシステムで一元管理することによって、組織内で見える化、共有化することができます。それぞれの業務を個々のPCにインストールされた給与計算クラウドソフトや表計算クラウドソフト、メールクラウドソフトで行うよりも、はるかに業務効率を高めることができます。

 なぜHRテックはここまで注目されるのか なぜHRテックはここまで注目されるのか

国が「労働時間の見える化」を推進した

ファイナンス+テック=フィンテック、エデュケーション+テック=エドテックといったワードと同じように、HRテックという言葉は今、非常に流行しており、企業への導入も急速に進んでいるようです。社会保険労務士である私のクライアント企業も近年、多くの企業が導入しています。なぜ今、HRテックは注目されるようになったのでしょうか。

その背景の一つに、法の改正があります。

2019年4月1日から「年次有給休暇の取得義務化」や「正社員と非正社員間における不合理な待遇差の改善」を含む「働き方改革関連法案」(働き方改革法)が施行されました(ただし、企業規模や項目によって、実際に適用開始となる時期は2023年までの期間に段階的に適用開始)。

これによって、「時間外労働の罰則付き上限規制」が設けられました。

残業違反は「社長が懲役」もありうる

労働基準法では、原則として1ヶ月45時間、1年で360時間を残業の上限時間としています。また、「1ヶ月45時間の残業」を超えられるのは年間で6ヶ月までとしています。

今回規定された罰則は、繁忙期において残業の上限時間を「年720時間以内」「単月100時間未満」「複数月平均80時間以内」と定め、会社がこれに違反した場合には、雇用主に対して「半年以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」が科せられるというものです。

そこまで行かなくとも、原則の上限である1ヶ月45時間、1年で360時間を超える残業をしている社員が多い会社は、労働基準監督署の指導が入る可能性が高くなっています。

「社員がそんなに働いていると知らなかった」はNG

この罰則規定の他にも、年間5日間の有給休暇付与の義務化や、勤務間インターバルを少なくとも10時間以上取る努力目標、月の残業時間が60時間を超えた場合に残業代の割増賃金の割増率を50%以上にしなければならない規則が中小企業にも適用されるなど、被雇用者の安全衛生を守る観点から多数の法律が施行されました(一部項目は2023年までの期間に段階的施行)。

いずれも、企業に対して国はより厳しい対応を取るというのが規定の方針です。そのため、企業は残業時間に対してより厳格に管理をしなくてはならなくなってきたというのが、企業がこぞってHRテックを導入することになった第一の理由です。

リアルタイムの残業監視が必須に

月が終わってから残業時間を集計するといった勤怠管理の方法では、結果として規定の残業時間を超えてしまう従業員の発生を抑えることが難しいですね。HRテックの勤怠管理システムを導入すれば、すべての従業員の累計の残業時間が日々集計され、月の半ばであっても残業時間を見ることができます。また、残業時間の上限の超過を未然に防ぐために、例えば30時間を超えた従業員が発生した場合に管理者に警告が表示されるといったことも可能です。そうした場合に、その従業員に対して残業をしないように指導をするといった管理ができるようになります。

サービス残業が会社のリスク要因になる

かつては、残業時間の上限を超えてしまった場合には、残業時間を申告しない、いわゆるサービス残業が暗黙に行なわれている企業も多くありました。しかし当然ながらサービス残業は違法行為であり、企業は罰せられることになります。また昨今は従業員の意識も変化しており、労働基準監督署に相談するということは当たり前になってきています。残業時間を管理するということは企業にとってリスク回避になるのです。

また、残業時間を日々きちんと管理することは、従業員が残業をしないように意識することにつながります。仕事を終えたはずなのに、その後も会社にだらだらと残って残業代をつけている従業員などがいる場合は、そうした実態も「見える化」されるので、自然に無駄な残業がしにくくなるでしょうし、また経営者や管理職がそのデータを見て従業員を指導することができます。不公平も減り、会社の経営効率も高まることが期待されます。

人事部の仕事時間を減らせる

もう一つの理由として、人事・労務を管理する側の仕事が効率化されることが挙げられます。従来紙ベースの管理で行っていた、従業員のタイムカードをエクセルに入力して残業時間を集計する作業が原則として必要なくなります。また、HRテックのクラウド勤怠ソフトは自動集計するだけでなく、分析ツールが備わっているものもあります。

またクラウド上で管理するため、集計したデータを関係部署の間でメールでやりとりするといった労力もなくなります。

支店や店舗、社労士とのやりとりが楽になる

これまでは社労士事務所に勤怠データを送るためには、タイムカードをコピーしてファックスしたり、エクセルにまとめたものをメールに添付して送っていたため、管理者も社労士側も大きな手間がかかっていました。しかし今、勤怠管理システムを導入している会社の中には、社労士にもIDを発行して閲覧権限を持たせていて、リアルタイムで把握してもらっているという会社もあります。

また、現場でも、残業している人がいないか管理者が現場を見回りするといった時間も削減されるでしょう。

複数の営業所や店舗がある会社の場合は、クラウド上で一括管理できるシステムは特に有効だと言えます。

 どんなHRテックを導入すればいいのか どんなHRテックを導入すればいいのか

(1)どのHRテックを導入すべきかは会社の規模で決まる

前述したように、人事、労務にはさまざまな業務がありますが、それぞれの業務を効率化するHRテックが存在します。どのシステムを導入したらいいのでしょうか。

会社の規模によって3段階に考えることをお勧めします。第一段階は中小零細企業を含めた全ての企業が対象、第二段階は従業員数50人以上の企業が対象、第三段階は大企業が対象となります。

(2)全ての企業が導入するべきHRテック19選

第一段階として、中小零細企業を含めた全ての企業が導入したほうがいいHRテックを紹介します。第一段階で導入すべきシステムは3つ。「勤怠管理」「給与計算」「人事労務手続き」です。

HRテック第1段階(全ての企業が導入を検討すべきクラウドサービス)
分野 内容
①勤怠管理 出退勤記録を集計し、1か月の残業時間などを自動表示
②給与計算 社員の勤怠情報から社員の給与を自動計算
③人事労務手続 社会保険、労働保険等の人事労務手続書類を自動作成

① 勤怠管理 労働時間の自動集計で勤務状況をリアルタイム把握

「勤怠管理」は「勤怠管理クラウドサービス」によって効率化することができます。従来型の紙のタイムカードの代わりに、交通系ICカードや社員証などのカードをリーダーにかざす、スマートフォンやデスクトップのアプリで出勤・退勤ボタンを押す、職場へ入退場するためにドアを開閉する、自席のパソコンのオン・オフといった様々な打刻方法によって出退勤記録がつけられ、自動で実労働時間が集計されます。また従業員に対して、1カ月の所定労働時間や、残業時間などを自動で伝えることもできます。

―主な勤怠管理クラウドサービス-
KING OF TIME 勤怠管理シェアNo.1
バイバイタイムカード 大企業のシェアNo.1
ジョブカン勤怠管理 他のジョブカンシリーズ製品との連携性が高い
AKASHI ソニーグループが提供
IEYASU ベンチャー企業向け。基本プランは無料
スマレジ・タイムカード 「笑顔認証」で打刻
シェア上位はKING OF TIMEとバイバイタイムカード

なかでもシェアナンバーワンは、2004年からサービスを提供しているKING OF TIMEです。変形労働時間制やフレックスタイム制などの多様な勤怠体系への対応や、カードリーダー、指紋認証など複数の打刻方法への対応、電話サポートセンターの充実などを踏まえても、有力な候補になります。

従業員1000人以上の大企業に限ると、シェアナンバーワンはバイバイタイムカードです。多様な打刻方法に対応するほか、数多くの部署や事業所を持つ大企業のニーズに応えた導入時の丁寧な支援が特徴です。

②給与計算

勤怠システムとのデータ連携が重要

「給与計算」は「給与計算クラウドサービス」によって効率化することができます。給与規定や従業員情報など初期設定を行い、従業員の勤怠データをインポートすれば、給与計算が自動で完了する仕組みです。クラウド勤怠管理ソフトで集計された勤怠データは、API連携やCSV連携で簡単にクラウド給与計算クラウドサービスに取り込むことができます。検討している給与計算クラウドサービスが、自社の勤怠管理システムとAPI連携またはCSV連携ができるかどうかは導入前に確認しましょう。作業が楽になるだけでなくヒューマンエラーの発生を回避することができます。

-主な給与計算クラウドサービス-
人事労務freee 会計ソフトfreeeとの連携が強みの、給与計算機能を備えたクラウドサービス
マネーフォワードクラウド給与 マネーフォワードクラウド会計との連携が強みの給与計算クラウドサービス
ジョブカン給与計算 「ジョブカン勤怠管理」との連携性が高い
フリーウェイ給与計算 無料版あり
給与体系の複雑さによって製品が決まる

役員のみの企業や、社員が数人で固定給ばかりという企業であれば、どの製品を使っても事実上困ることはないでしょう。ただ、社員の他にアルバイトがいたり、固定残業代や裁量労働制などが適用される人もいるといった複雑な給与体系の場合は、機能やサポートが充実している人事労務freeeか、マネーフォワードクラウド給与を選ぶのが現時点では手堅い選択です。この2つのクラウドサービスはともに給与計算クラウドサービスの草分け的存在で、2大クラウドサービスといえます。

ジョブカン給与計算は18年にリリースされたばかりですが、「ジョブカン勤怠管理」「ジョブカン労務管理」「ジョブカン採用管理」との連携性から選択の余地があります。

年末調整の手間を省くには

「年末調整」も、給与計算クラウドサービスなどによって行うことができます。年末調整とは、一言で言えば年間の所得税の確定作業です。そのために必要な、扶養家族の状況や、生命保険や地震保険等の加入状況、住宅ローン控除の有無など、所得税の確定のために必要な各種情報を、クラウド経由で社員から効率的に収集することができます。これまでのように、必要書類を全社員に紙ベースで配布、回収してデータ入力するといった手間をなくすことで、大幅に労力を削減できます。

-主な年末調整機能対応クラウドサービス-
人事労務freee 年末調整機能を備えた給与計算・人事労務クラウドサービス
マネーフォワードクラウド給与 年末調整機能を備えた給与計算クラウドサービス
SmartHR 年末調整機能を備えた人事労務クラウドサービス

③人事労務手続

社会保険や年金事務所の手続きがラクになる

「人事労務手続」は、「人事労務クラウドサービス」によって効率化することができます。社員が入社、退社する場合、人事部では「資格取得届」を作成し、社会保険に関しては年金事務所に、雇用保険に関してはハローワークに提出しなければなりませんが、クラウド上に保存された人事マスタに基づき、入社、退職、算定基礎届などの人事労務手続書類を自動作成します。ハローワークや年金事務所への電子申請に対応しているクラウドサービスもあります。

クラウド人事労務クラウドソフトの一覧
SmartHR 人事労務クラウドサービスでトップシェア
人事労務freee freeeシリーズの他製品と連携性が高い
ジョブカン労務管理 電子申請にも対応
完成度ならSmartHR、連携性ならfreeeやジョブカン

中小企業も含め、気軽に使えて最も完成度の高い人事労務クラウドサービスはSmartHRです。対応している手続きの種類が多く、電子申請にも対応しています。ジョブカン労務管理も電子申請に対応しており、HRテックをジョブカンシリーズで揃えたい場合は、有効な選択肢になります。

マイナンバー管理機能で個人情報を安全に保管

マイナンバー法の定めにより、企業は、個人番号および特定個人情報が漏洩、滅失または毀損することなく適切な管理を行うために、組織的、人的、物理的、技術的に安全管理措置を講じなければならないことが定められています。企業が自分でこれをしようとするとコストがかかるうえ、万一の場合のリスクも高くなります。

しかし、マイナンバー管理は、マイナンバー管理クラウドサービスで効率化することができます。セキュリティの高いクラウド経由で社員のマイナンバーを安全に収集し、クラウド上のセキュアな環境に保管することができます。物理的、技術的にマイナンバーを安全に管理することができるのです。

-主なマイナンバー管理対応クラウドソフト-
マイナンバー管理freee 会計クラウドのfreeeシリーズ。「人事労務freee」の一機能としても提供されている
マネーフォワードクラウドマイナンバー 「マネーフォワード」シリーズの、マイナンバー管理用クラウドサービス
SmartHR 人事労務クラウドサービスの機能として提供
人事労務クラウドとの連携を重視する

マイナンバー管理クラウドサービス選びは、他のHRテックとの連携で考えると良いでしょう。たとえばマイナンバー管理freeeは人事労務freeeと連携でき、人事労務freeeで入社・退職の書類を作成したり年末調整を行ったりする場合、マイナンバーfreeeからマイナンバーを呼び出して必要な書類に転記することもできます。マネーフォワードクラウドマイナンバーとマネーフォワード給与も、同様に連携できます。

(3)従業員50人以上の企業が導入したいHRテック12選

社員の健康管理や、採用・評価のIT化

第二段階として、従業員数50人以上の企業に導入の検討をお勧めしたいHRテックを紹介します。50人以上の規模になると、ストレスチェックの実施義務や産業医の選任義務など、労働安全衛生法に基づいて様々な義務が発生します。これらの義務を果たす負担は、中小企業の人事担当者にとっては意外に重いものです。

また、社員数が増えてくれば採用やタレントマネジメントの管理も大変になってきます。そこで、「健康管理」「採用」「タレントマネジメント」の3つのHRテックに関するクラウドサービスがオススメです。

第2段階のHRテック(従業員50人以上の企業が導入を検討すべきクラウドサービス)
分野 内容
①健康管理 健康診断結果の管理やストレスチェックを自動化
②採用 応募状況、履歴書、選考状況等を一元管理
③タレントマネジメント 社員の経歴や能力、評価データを管理し、評価や人事異動等に活用する

①健康管理

「健康管理」は健康管理クラウドサービスで効率化することができます。社員の健康診断結果の管理や、ストレスチェックをクラウド上で行ったり、社員が健康相談を行えるチャット機能が利用できたりします。昨今、キーワードになっている健康経営を行うために重要なツールです。

-社員50名以上の企業の“義務”とは-

  • 衛生管理者の選任
  • 産業医の選任
  • 衛生委員会の開催
  • 定期健康診断の実施状況の報告
  • ストレスチェックの実施
-主な健康管理クラウドサービス-
Carely 低コストで中小企業向け
FiNK for BUSINESS 大企業向け

低コストで中小企業も含め使いやすい健康管理クラウドサービスでオススメなのは、Carelyです。Carelyを導入すると、①ストレスチェックの実施から実施後のフォロー、②健康診断結果や残業時間数のデータ管理、③高ストレス者、健康不調者、過重労働者のフォロー、が効率化されます。一方で、FiNK for BUSINESSは社員数が数百名から数千名規模の企業を主なユーザーに想定したクラウドサービスです。企業規模によって選択すると良いでしょう。

②採用

採用の進捗状況をサイトで一括管理

採用関連業務は、採用クラウドサービスで効率化することができます。求人を出したり、応募者を一元管理することができます。応募者や転職エージェントとのメールのやり取りや、履歴書、選考状況などをクラウド上のツールで管理でき、関係者で共有することができます。

-主な採用クラウドサービス-
Indeed 採用求人情報に特化した検索エンジン
Wantedly 採用企業と転職者を結びつけるコミュニケーションツール
ジョブカン採用管理 勤怠管理のジョブカンが開発
HRMOS採用 転職サイト運営のビズリーチが開発
MyRefer 社員の知り合いの採用活動をクラウド上で管理

低コストで企業が自由にカスタマイズでき、広く利用者に訴求できる採用に関するHRテックの代表が、IndeedWantedlyです。

また、選考段階においては、応募者の管理や選考プロセスの日程管理なども人事労務部門にとって大きな負担になります。応募者への選考が遅くなってしまうと優秀な人材を他者に取られたり、内定を辞退されたりする可能性が高まります。ジョブカン採用管理HRMOSのようなクラウド採用クラウドサービスを使えば、管理が楽になるとともに、社員獲得のために有効なツールとなります。近年、スタートアップ企業を中心に利用が増加しているリファラル採用に特化した採用クラウドサービスのMyReferも注目を集めています。

③タレントマネジメント

「あの社員はどんな人?」をクラウドで一括管理

「タレントマネジメント」とは、社員がどのような経歴の人で、どのような能力を持っているかを把握し、その能力を最大限活かすために人事評価、人材配置、教育などを行うことです。タレントマネジメントは、タレントマネジメントクラウドサービスで効率的に行うことができます。

-主なタレントマネジメントクラウドサービス-
カオナビ 顔写真を並べて一覧できる
サイレコ グッドデザイン賞を受賞
コンピテンシークラウド 目標設定や人事評価に強み
HRMOS CORE 転職エージェントのビズリーチが運営
ヒトマワリ 社員のタイプ分析などに特徴
趣味や出身地から人事評価まで、社内人材を「可視化」

人事評価や人材配置のプラットフォームになるタレントマネジメントクラウドサービスは様々なものがありますが、シェアナンバーワンでオススメなのがカオナビです。カオナビは社員の「顔と名前を一致させる」というコンセプトで開発されており、顔写真を含むプロフィールをデータベースに登録して、様々な人事関連業務に役立てます。

個々のプロフィールには人事評価なども含まれますが、顔と出身地と業務実績と趣味を全社員に公開するといったように、閲覧権限を段階的にすることができます。そのため、社内のつながりを深める、社内人材を可視化するといったことにも役立ちます。

また人事考課においては、公平かつ効率的な人事評価が可能になる、社員の面談記録等を一元管理できる、といったメリットがあります。

(4)大企業が活用するHRテックと今後の展開

AIで仕事の能力や休職リスクを予測

第三段階として、大企業では、AI・ビッグデータを活用したHRテックの導入も行われ始めています。応募者のプロフィールをビッグデータと照らし合わせて採用の判断を行ったり、精神疾患の予兆のある社員を抽出するなど、単なる効率化にとどまらない高度なHRテックです。

実例は、IBM社のWatsonというAIを使ったHRテックです。クラウドソフトバンクが新卒採用のエントリーシートの審査にWatsonを用いています。

またその他にも、従業員の健康診断や勤務表をAIが分析し、1年以内に体調不良で休職するリスクを予測。可能性の高い人を見つけて改善を促すシステムも開発されています。

 今後勝ち残れるのは「生産性が高くて、社員が辞めない会社」 今後勝ち残れるのは「生産性が高くて、社員が辞めない会社」

管理する人も、管理される人もラクになる

冒頭で申し上げたとおり、HRテックは「人事労務業務を効率化するクラウド型ITサービス」ですが、語源をたどれば社内の人的資源を生かすテクノロジーだと言えます。

この人的資源とは、人事を管理される側の従業員(つまり全従業員)と、人事を管理する側の従業員(人事部や総務部など)の両方を指します。

つまり企業はHRテックを導入することによって、従業員の働き方や、個々の生産性、健康状態を見える化して営業や開発、製造、サービスなど各事業部門に携わる全従業員の労働生産性を高めることができます。それと同時に、人事部(勤怠管理、募集・採用・タレントマネジメントなど)や総務部(給与計算、経費精算など)が人を管理する時間・管理コストを削減し、余裕のできた時間を人事の企画や採用活動に充てることによって、より戦略的な人事を行うことが可能になるのです。

HRテックは、人手不足時代の必須ツール

少子化・人材不足によって人材の獲得競争、人材管理がよりいっそう厳しくなる中、社員が無駄なく効率的に働き、社員のモチベーションが上がり、人が辞めない会社にするためにも、HRテックの導入は全ての会社が検討するべき段階に来ていると思います。

構成=嶺 竜一 イラスト=タケウマ 編集=eon-net編集室